ポルシェ タイカン クロスツーリスモ4 24時間試乗レビュー①|EVとは思えない走りと乗り心地

レビュー

はじめに

2025年某日、雑誌 911DAYS が行っていた「タイカン 24時間レンタルキャンペーン」に応募し、幸運にも当選。今回の試乗車はポルシェ タイカン クロスツーリスモ4
SUVの安定感とワゴンの積載性を併せ持ち、ポルシェらしいスポーティさを兼ね備えたEVモデルです。
私は普段911とテスラ モデル3 をドライブしていますが、EVのポルシェは初体験。果たして「電気でもポルシェ」なのか、24時間かけてじっくり検証しました。
この記事では、ポルシェ・タイカン クロスツーリスモ4を24時間レンタルして300km走行した体験から、走り・性能・ドライブフィールを中心にレビューします。
次回の記事②では、インテリア・快適装備・実用性・充電環境・総評について詳しくお届けします。

エクステリア|クロスオーバーの力強さとポルシェらしい流麗さ

試乗車は20インチ「ターボ スポーツ エアロ」ホイール。SUV的な最低地上高(標準より20mm高め)とフェンダーアーチの樹脂カバーが、アウトドアテイストを演出します。一方で、サイドからリアにかけてのルーフラインは滑らかで、911譲りの美しいカーブを描きます。
EV特有のグリルレスデザインですが、タイカンはフロントフェンダーの張り出しやLEDマトリックスヘッドライトで、しっかりと「ポルシェ顔」を主張。街中での存在感は圧倒的で、信号待ちでは通行人の視線を集めていました。

走り出し|EV特有の無音スタートと滑らかな加速

スタートボタンを押すと、静かにシステムが起動。ギアセレクターをDに入れ、アクセルを軽く踏むと、無音のままスルスルと動き出します。
しかし一歩アクセルを深く踏み込めば、そこはやはりポルシェ。476ps、最大トルク500Nmが即座に立ち上がり、0.1秒の遅れもなく背中を押されるような加速が始まります。

街乗りでは、ガソリン車のようなシフトショックもエンジン音もなく、加速は驚くほどスムーズ。それでいて高速道路の合流では余裕の加速力を発揮し、後続車をあっという間にミラーの彼方へ置き去りにします。

ハンドリングと足回り|重心の低さと安定感の両立

峠道を走らせてみると、車重2.3トンとは思えない軽快さ。これは床下に搭載された93.4kWhのリチウムイオンバッテリーによる低重心設計と、前後アクスルそれぞれにモーターを搭載する4WDシステムの恩恵です。
さらにアダプティブエアサスペンションが路面状況に応じて瞬時に減衰力を変化させ、直線ではフラットに、高速コーナーではピタリとロールを抑え込みます。

911のような軽やかさとは別物ですが、「重量級スポーツツアラー」としては驚異的な安定感を誇ります。

ドライブモードの違い

タイカンには複数のドライブモードが用意されています。

  • Normal:街乗り・高速巡航向け。加速は穏やかでバッテリー消費も抑制。
  • Sport:アクセルレスポンスが鋭くなり、サスペンションも締まる。
  • Sport Plus:最大トルクを常に即応。サウンドも強調され、まるで911を操っている感覚。
  • Range:航続距離優先モード。高速では車高も下げ、空気抵抗を低減。

今回は市街地ではNormal、高速やワインディングではSportを多用しました。モード切り替えで車の性格がガラリと変わるのは、EVでも変わらないポルシェの魅力です。

静粛性とサウンド演出

EVならではの静かさはもちろんですが、ポルシェエレクトリックサウンドをONにすると、低音の効いた人工サウンドが加速に連動して響きます。
これが意外にクセになる。完全無音だと物足りない方も、このサウンドを使えば運転の高揚感がぐっと増します。

航続距離と充電

試乗では一般道・高速・峠を織り交ぜて合計300kmを走行。出発時の満充電から、帰着時には残り約60km。高速走行が多いと航続距離の減りは早まりますが、市街地中心なら500km近く走れそうです。
急速充電(150kW対応)なら約30分で80%まで回復可能。長距離旅行も現実的なレベルです。

総合評価|「電気でもポルシェ」を証明した一台

今回の24時間試乗で感じたのは、「EVなのにここまでポルシェらしい走りを実現できるのか」という驚き。
クロスオーバーワゴンとしての実用性を備えつつ、ハンドリング・加速・安定感は間違いなくスポーツカーメーカーの血統を受け継いでいます。

EVの購入を検討している方はもちろん、ガソリン車しか運転してこなかった方にも、ぜひ一度試してほしい一台です。

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