「なんでポルシェなんか買ったの?」
この一言に、心が少しだけザラついた。でも、僕の中ではすでに“答え”は出ていた。

◆ 25歳、そしてポルシェ996
社会人になって数年、少しずつ仕事にも慣れ、収入も安定してきたある日。ふと「今しか乗れないクルマがあるんじゃないか」と思った。それは、通勤の道すがら見かけた911がきっかけだった。
流れるようなシルエット。空ぶかしの甲高いNAサウンド。機能を超えた存在感。
調べれば調べるほど、911は特別なクルマだった。特に「996」は賛否あるスタイルながら、その純粋さや素の走りが評価されている。空冷から水冷に切り替わった最初のモデルであり、過渡期の面白さがある。
何よりも価格が、奇跡的に現実的だった。

◆ 周囲の“普通”と、自分の“好き”の狭間で
友人はSUVを選び、同僚はローンで新型の国産車を買っていた。「無理せず、壊れなくて、維持しやすい」──確かにそれが“賢い選択”だ。
でも、僕はクルマに夢を見ていた。ハンドルを握るたび、心が昂るような。週末が待ち遠しくなるような。何かが“始まる”感覚を、求めていたのかもしれない。
ポルシェを買えば、周りは何を言うだろう? 見栄だと思われるかもしれない。維持できるの?と心配されるかもしれない。
でも僕は、「どう思われるか」より、「どうありたいか」を選んだ。
◆ 出会いは、一台のカレラ4S
ネットで情報を漁り、何件も見に行った。そして出会ったのが、アークティックシルバーの996カレラ4S。ワイドボディ、赤キャリパー、エンジンからわずかに香るオイルのにおい。
ボンネットエンブレムのクリアが少し劣化していた。でも、それすら“味”に思えた。
エンジンに火を入れる。低く震えるようなサウンド。試乗して数分で、もう心は決まっていた。
このクルマと、人生のページを一緒にめくっていきたい──そんな感情だった。
◆ 乗ってわかった「911という日常」
買って最初の数週間は、とにかくワクワクが止まらなかった。ドアを開けるたび、自分の心が少年のように躍っていた。
けれど当然、現実もあった。駐車場の確保、部品の値段、DIYの試行錯誤、そして何より「古い外車を維持する」という覚悟。
クレストのクリアはがれ、ラジエーターのにじみ、ボンネットダンパーの弱り──正直、トラブルはゼロじゃなかった。でもその度に、調べて、手を汚し、少しずつ“このクルマと暮らす”感覚が育っていった。

◆ それでも、僕は911を選んでよかったと思う
996は「壊れるクルマ」だと言う人もいる。でも僕にとっては、「心が動くクルマ」だ。うまく言葉にできない魅力が、この一台にはある。
そしてなにより、このポルシェを選んだことは、自分の人生において“確かな一歩”だったと思う。
他人の目を気にせず、自分の“好き”に素直になった初めての選択。それが911だった。
◆ これからも、911と。
「若いうちにそんなクルマ買ってどうするの?」
そう聞かれても、もう怖くない。
だって、いつか年齢を重ねたとき、「あの頃、自分の夢に乗ってた」って胸を張れる気がするから。
これからも、996と。壊れても直して、嫌なことがあっても乗って、僕はこのクルマと歩いていく。
「911は、人生のギアを変えてくれる。」
そんな気がしている、今日この頃。
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